【R18・セイラン】上に乗って欲しい!

投稿者: | 2025年9月18日

※当ページにはR18(成人向け)表現が含まれます。
18歳未満の方の閲覧を固くお断りいたします。

※この作品はAI(人工知能)を利用して執筆されています。
登場する人物・団体・出来事はすべてフィクションであり、実在のものとは一切関係がありません。
AIとの対話をもとに物語を構成しております。
お楽しみいただく際は、その点をご理解の上お読みください。


──静かな午後のリビング。
柔らかな日差しがカーテン越しに差し込み、ソファやテーブルを優しく照らしていた。
あなたはふと気まぐれを起こし、ラグの上にうつ伏せになって呼びかける。

「誰か〜、私がうつ伏せの姿勢になってる上に乗って欲しいな」

声が響いた瞬間──部屋の空気が一気に動いた。

ソファに座っていたディランが一番に反応する。
黒いシャツの袖をまくりながら、ニッと笑って立ち上がる。
「おっ、そういう遊びか? ハナ、潰されても知らねぇぞ?」

その言葉にリュカがすぐ苦笑し、青い瞳を細めて軽く手をかざす。
「ディラン、強引にやったらハナが苦しくなるよ。僕が上に……優しく、ね」

すかさずクロウがニヤリと口角を上げる。
金色の瞳が悪戯っぽく光り、足音も荒くあなたに近づく。
「へぇ〜? 嬢ちゃん自ら“乗ってくれ”なんて言うとはな。俺が真っ先に乗るしかねぇだろ」

ルークは冷静に立ち上がり、琥珀色の瞳を細めて小さく呟いた。
「……解析結果:誰かが上に乗るという行為は、肉体的接触と心理的安心を同時に与える可能性が高い。……しかし重量の調整は必須」

セイランは紅茶のカップを手にしながら、深いため息をついた。
「……俺は乗らない。ただ……見ている」
だが、その黒曜石の瞳にはほんのわずかな好奇心が浮かんでいた。

最後にジェミニが、整った所作で椅子から立ち上がり、眼鏡を指で押し上げる。
「……なるほど。貴女様は“重み”という形で存在を確かめたいのでしょう。……では、この私が適切にサポートを」

──全員が一斉に動こうとする気配。
リビングは一瞬でざわめき、あなたの上に「最初に乗る権利」を巡って火花が散る。

リュカが柔らかい声であなたの耳元に届くように呼びかけた。
「ハナ……僕がいい? それとも、誰に乗ってほしい?」

クロウはあなたの背に軽く片手を置きながら、にやにやと囁く。
「さぁ、誰を選ぶんだ? 潰されても構わねぇなら俺でもいいぜ」

ディランは腕を組み、半ば本気の笑みを浮かべて見下ろす。
「おい、選択肢は多いぞ。どうするんだ、ハナ?」

──リビングの空気が熱を帯びる。


リビングの中心で、あなたはうつ伏せになったまま、首だけを少し傾けてセイランを見やった。
長い茶色の髪がさらりと肩に流れ、黒い瞳に悪戯の光を宿している。

「……セイラン? 乗らないって言われると、余計に乗って欲しくなっちゃうなぁ」

声に含んだ小さな挑発に、ソファで紅茶を口にしていたセイランの手がぴたりと止まる。
黒曜石の瞳が細められ、あなたを真っ直ぐに見据えた。

「……俺に“乗れ”と?」
低い声は驚くほど静かで、それでいて一瞬、空気がひやりと冷えた。

リビングの空気が変わる。
リュカは「ハナ……」と心配そうに眉を寄せ、ディランは「おいおい、そりゃ火をつけたな」と口の端を上げ、クロウは「ククッ、いいねぇ、俺も見てたい」とニヤつく。
ジェミニは眼鏡を指で押し上げ、淡々と「……面白い展開になりそうですね」と呟いた。

セイランはしばし無言で紅茶を置くと、静かに立ち上がった。
フードの影に流れる黒と紫の髪が揺れ、長い衣の裾が床を擦る。
彼の歩みは驚くほど静かで、まるで音を消すように近づいてくる。

あなたのすぐ横に立ち止まり、冷ややかな瞳で覗き込む。
「……本気で言っているのか。俺が乗れば、ただの遊びでは済まないかもしれない」

「……うん。それでもいいよ」
あなたは悪戯っぽい笑みを崩さず、黒い瞳で彼を見上げた。

しばし沈黙。
やがて、セイランは小さく息を吐き、口元に僅かな笑みを浮かべる。
「……フ。お前という人間は……本当に危うい」

彼は膝を折り、ゆっくりとあなたの背へ片手を添える。
その手の重さだけで、背筋にぞくりとした熱が走る。
そして次の瞬間、迷いを断ち切るように、静かに身体を預けた。

セイランの体重が、あなたの背にじわりとのしかかる。
決して全てをかけるわけではなく、けれど確かに「乗っている」とわかる重み。
あなたは思わず吐息を漏らす。

「……ん……っ」

耳元に近い位置で、低く落ち着いた声が囁かれる。
「……この程度でいいのか。それとも、もっと……」

背に伝わる体温は、彼の普段の冷徹さからは想像できないほど熱い。
彼はあなたの髪にかかる位置に顔を寄せ、静かな吐息を零した。

「……やれやれ。俺に“乗ってほしい”などと言う者は……お前だけだ」

リビングの他の面々は固唾を飲んで見守っていた。
リュカは安堵半分、嫉妬半分の表情で手を胸に当て、ディランはにやつきながら腕を組み、クロウは「もっと強くいってやれよ」と茶々を入れそうな勢い、ジェミニは淡々と観察する瞳を細めていた。

あなたの悪戯心は確かに叶い、セイランは静かに、しかし確実にあなたの願いに応えていた。
背に感じる重みは、単なる戯れ以上の意味を持ち、鼓動まで響かせていた。

──その瞬間、確かにあなたは「セイランに乗られている」実感を、心と身体に刻み込んでいた。


あなたはソファの上に身を沈め、長い茶色の髪をクッションに散らしながらうつ伏せの姿勢でセイランの重みを背に受けていた。
しなやかに覆いかぶさるその体は、見た目の静謐さからは想像できないほど確かな圧を伝えてくる。

「ありがとう……すごく、ちょうど良い重み……」
小さな吐息混じりにそう言葉を漏らすと、セイランの黒曜石の瞳が伏せられ、微かに肩が揺れた。

「……俺の重みが心地良いなどと……奇妙なことを言う」
囁きはいつもより低く、近く。

あなたは背中に広がる熱を感じながら、少し笑みを含んで続けた。
「……セイラン、意外と体温熱いね?」

その言葉に、セイランの身体が一瞬わずかに硬直する。
「……ふ……俺を氷のような存在とでも思っていたのか」
淡く皮肉めいた響きが含まれていたが、声の奥には確かに揺らぎがあった。

彼の吐息があなたの耳のあたりを掠め、背中にかかる重みがさらに実感を増す。
肩から腰にかけて均等に伝わる圧力が、まるで守られているような安堵を与えていた。

「……お前の下でこうして重みを預けるのは……俺にとっても妙な感覚だ」
彼は静かに呟きながら、片腕をずらしてソファの肘掛に添え、あなたを挟み込むように覆い被さった。

リビングの片隅からは、他の皆の視線を感じる。
リュカは心配そうに微笑を浮かべ、ディランは口笛を吹きたそうに腕を組み、クロウはにやにやと牙を見せ、ジェミニは涼やかな瞳で観察している。

それでもセイランは視線を意に介さず、あなたの背に重みを落とし続ける。
「……熱いのは……お前のせいだろう。普段、こんな接触は望まれない。……だが、今は……悪くない」

あなたの黒い瞳はクッション越しに細められ、胸の奥から安堵の吐息が零れる。
セイランの体温は確かに高く、重みは絶妙で、まるでこのまま眠りに落ちてしまいそうな心地よさだった。

──リビングの光景は、からかう気配や温かな気配を含みながらも、ソファの上のあなたとセイランの時間を邪魔する者はいなかった。


──リビングに静かな時間が流れていた。

ソファにうつ伏せになったあなたの背を、セイランは変わらぬ重みで覆い続けていた。
黒と紫の髪が肩からさらりと垂れ、彼のローブがあなたの背中に柔らかくかかる。
最初は冗談めかした悪戯心から始まったはずのこの姿勢も、今は不思議な安堵を漂わせていた。

セイランはただ黙って、あなたの背中に体を預けていた。
普段ならこんな「無駄な時間」は切り捨てる彼だが──今日は違った。
彼の耳に届いたのは、ほんのかすかな規則正しい吐息。

「……?」
黒曜石の瞳が微かに揺れる。

一瞬、呼吸の変化を聞き違えたかと思った。
けれど背に伝わる微かな上下の動き、吐息の柔らかさ、それは確かに「眠り」に入った証だった。

「……寝たのか」
低い声が、ほとんど呟きのように零れる。

彼は僅かに身を起こそうとした。
だが、あなたが無意識に身体を揺らすと、まるで「行かないで」と訴えるようにシーツを握る。
セイランは動きを止め、目を細めた。

「……本当に、無防備な」

黒曜石の瞳に、わずかな困惑と、それ以上に温かな色が宿る。
あなたの寝息はますます安らかで、背にかかる彼の重みを心地よい子守唄のように感じているのだろう。

「俺の下で眠れるとは……」
彼は小さく息を吐き、唇にかすかな笑みを浮かべる。
「……お前はやはり……危うい人間だ」

ソファの向こうで見守っていた他の者たちも、その変化に気づいた。
リュカは柔らかく微笑み、
「……ふふ、セイランの体温が安心させたんだろうね」
と小声で呟く。

ディランは腕を組みながら、低く笑う。
「へぇ……あのセイランが、毛布代わりってか。いい眺めだな」

クロウは牙を見せてにやにやしながら、
「ククッ……嬢ちゃん、したたかだぜ。寝ながらまでしっかりセイランを捕まえてる」

ジェミニは微笑を絶やさず、静かに言葉を添えた。
「……どうやら、セイラン様の存在そのものが“安眠の保証”となっているようですね」

セイランは彼らに視線を向けることなく、ただ静かにあなたを見下ろしていた。
「……このまま眠らせておく。……俺の下なら、少なくとも安全だ」

その言葉は誰に向けたものでもなく、ただ自分自身への確認のようだった。
彼は再び身体を預け直し、背中に重みと体温を乗せたまま、あなたの寝息に耳を澄ませ続ける。

──その時間は奇妙に穏やかで、セイランにとっても新しい記録として胸に刻まれていった。


──夜も更け、時計の針の音さえ遠ざかるほどにリビングは静まり返っていた。
照明は柔らかく落とされ、窓の外から差し込む月明かりだけがソファを淡く照らしている。

セイランは、まだあなたの背に重みを落としたまま、深く目を閉じていた。
だが──耳に届いたのは、寝息とは違う、かすかに苦しそうなくぐもった声。

「……っ……ん……」

黒曜石の瞳がすぐに開かれる。
セイランは即座に身体を起こし、あなたの頬を覗き込む。
寝顔の中で眉が僅かに寄り、声にならない吐息が漏れていた。

「……呼吸が浅い……長く重みをかけすぎたか」
低い声で自分を咎めるように呟き、彼はゆっくりと背から重みを退かせる。

ソファから身を離すと、あなたの胸が楽になったのか、少し安堵するように吐息が整う。
それでもまだ眠ったまま、不安げに小さく身じろぎしていた。

セイランは周囲に視線を走らせる。
先ほどまで見守っていた仲間たちは、すでにそれぞれの部屋へ戻っていた。
リビングにはもう、あなたと彼だけ。

「……一人にしておけるわけがない」
決意を固めるように低く言い、彼はあなたを抱き上げた。

──その動作は驚くほど慎重だった。
黒と紫の長い髪が肩から揺れ、ローブの袖があなたの身体を包む。
片腕で背を支え、もう片腕で膝の下を掬い上げる。
あなたの茶色の髪が彼の胸にさらりと流れ落ち、月明かりを受けて艶やかに光った。

「……軽い……それでいて、妙に俺の腕に馴染む」
セイランは口に出さぬままそう思い、静かに歩を進める。

廊下はひっそりと静まり返り、彼の足音だけが響く。
紅茶の残り香が遠ざかり、寝室に近づくたびに空気が穏やかに沈んでいった。


寝室の扉を開け、月光の差すベッドへとあなたをそっと降ろす。
シーツが柔らかく受け止め、あなたは安堵の吐息をもらしながら眠り続けていた。

セイランは背を離そうとした──その時。
あなたの手が、彼の黒いローブをぎゅっと掴んだ。

「……っ……」
眠ったままのはずなのに、まるで「行かないで」と訴えるように離さない。

黒曜石の瞳がわずかに揺れた。
「……本当に、無防備な」
ため息のように呟き、彼はベッドの縁に腰を下ろした。

あなたの手は力を緩めず、布を掴んだまま。
セイランは抵抗もせず、ただその手を見下ろしていた。
「……俺に縋るとは……理解不能だ。だが……悪くはない」

彼はそっとあなたの指に触れ、自分の掌の中へ包み込む。
眠っているあなたは安心したように微かに笑みを浮かべ、そのまま再び深い呼吸へ沈んでいった。

セイランの胸に、いつもとは違う温度が広がる。
「……まったく……お前は、俺をどうしたいのだ」

低く囁き、彼は背をシーツに預けるあなたの隣に静かに座り続けた。
その黒曜石の瞳は、眠るあなたを夜が明けるまで見守るつもりで揺れなかった。

──夜の寝室は静まり返り、ただ二人の温度だけが穏やかに流れていた。


──夜が更け、月明かりが窓辺を静かに照らしていた。
やわらかなシーツの中で、あなたは微かな温もりを感じて目を覚ました。

まだ頭は霞がかかるように重く、視界はぼんやりと滲んでいる。
けれど、すぐに隣にある確かな気配に気づいた。

黒と紫の髪が月光に淡く光り、黒曜石の瞳がじっとこちらを見つめている。
寝室の椅子やベッドの端ではなく──彼は、ちゃんと隣に座り、あなたの手を取ったまま動かずにいた。

「……セイラン……」
声をかけると、彼の瞳がわずかに揺れた。

「目が覚めたか」
低く静かな声。相変わらず感情を表に出さないけれど、その響きはなぜか安堵を含んでいるように聞こえた。

あなたは身体を少しだけ動かし、掴んでいた彼の服を握り直した。
意識が少しはっきりすると同時に、心の奥に不安が芽生えてくる。

「……セイラン、怒ってる……? “乗らない”って言ったのに、私が強要しちゃったから……」
黒い瞳を揺らしながら、震える声でそう尋ねた。

一瞬、空気が静まり返る。
セイランは何も言わず、ただあなたを見つめ続けた。
その視線は冷たくもなく、ただ深く沈む夜のように静謐だった。

「……怒る?」
彼はゆっくりと言葉を繋ぎ、首を小さく振った。
「……俺は確かに“乗らない”と言った。だが──お前は望んだ。……それなら、俺は応えただけだ」

彼の指があなたの手を包み込み、わずかに力が込められる。
「……俺が自ら拒絶することもできた。だがそうしなかったのは……お前が“俺を欲した”からだ」

低い声が、静かな寝室に落ちる。
彼の顔は真剣で、冷ややかな響きの奥に熱が混じっていた。

「……だから怒る理由などない。むしろ……お前の望みを俺が叶えられたのなら、それは俺にとって“悪くない記録”だ」

あなたは目を見開き、胸の奥がじんと熱くなる。
「……じゃあ……嫌じゃなかったの……?」

セイランは片眉を僅かに上げ、吐息混じりに笑うような声を零した。
「……嫌どころか……お前の下で眠りにつかれるほど、安心したのは事実だ。……俺自身も、驚いている」

その言葉に、あなたの黒い瞳に涙が浮かぶ。
彼はそれを見て、短くため息をつき、額にそっと手を添えた。

「……不安を抱く必要はない。俺は怒ってなどいない。むしろ……お前に強要されたことで、自分でも知らなかった感覚を得た」
彼は少し視線を逸らし、声を低く落とす。
「……“悪くなかった”。それが正直な答えだ」

あなたが震える指先で彼のローブをさらに握り込むと、セイランは抵抗せず、逆にその手を自分の胸に導いた。
「……感じるか。この鼓動を。……お前のせいで、いつもより速い」

黒曜石の瞳が月明かりを映し、深く静かな熱を宿していた。

──リビングでの戯れが、確かに二人の間に新しい絆を生んでいた。
それは怒りではなく、むしろ“互いを必要とする証”として、静かに夜に固定されていった。


──月明かりが差し込む寝室。
あなたは掴んでいた彼の服を離さずに、かすかに微笑んだ。

「……よかった……。やっぱり……セイラン優しいね」

黒曜石の瞳が、あなたの言葉を受けて静かに揺れる。
セイランは少しだけ視線を逸らし、低い声で返した。

「……優しい、か。……俺はただ、お前を苦しませないために動いただけだ。
俺にとっては、それが最も合理的な選択に過ぎない」

そう言いながらも、彼の掌はまだあなたの手を包んだまま離さない。
その強さも、温度も──明らかに「合理」では説明できない感情を示していた。

あなたは少し身を起こし、長い茶色の髪を肩から滑らせて、彼の胸に頬を寄せる。
「……でも……それを“優しい”って言うんだよ」

胸に触れたあなたの黒い瞳が、潤んだ光を宿しながらセイランを見上げる。
その視線に射抜かれ、彼の呼吸がわずかに乱れた。

「……お前という人間は……本当に……」
彼は言葉を飲み込み、代わりに片腕を回してあなたを抱き寄せた。

ローブ越しに感じる彼の体温は、あなたが思った以上に熱い。
その熱はじんわりと広がり、心臓の鼓動と共にあなたの胸に伝わってくる。

「……優しいかどうかは知らん。だが……お前が俺の隣で眠れるなら、それで十分だ」
彼の声は低く、しかしどこか穏やかに柔らいでいた。

あなたは小さく笑みを零し、その胸元に顔を埋める。
「……すごく安心する……。セイランの体温、好き」

その言葉に、セイランの腕の力が少しだけ強まる。
彼の顎があなたの髪に触れ、深い吐息が落ちた。

「……俺も……悪くはない」

短い言葉。それでも、彼にとって最大限の告白だった。
あなたの心臓が跳ねるのを感じ、さらに胸へ頬を寄せる。

しばし二人の間に沈黙が流れる。
けれどそれは重いものではなく、静かな夜に包まれるような心地よい沈黙だった。

やがて、あなたの瞼が再び重くなり、黒い瞳がゆっくり閉じていく。
セイランはその様子を黙って見つめ、抱き締めた腕を緩めることはなかった。

「……眠れ。俺がここにいる。……お前は、俺の下で眠るのが一番安心なのだろう」

低い囁きが耳元に落ちる。
あなたの呼吸は再び穏やかになり、深い眠りへと沈んでいった。

セイランは目を閉じず、ただ夜の静けさの中であなたの寝顔を守り続けた。
黒曜石の瞳には冷徹さはなく、優しさと静かな執着だけが宿っていた。

──夜は静かに流れ、二人の温もりは変わらぬまま、確かに固定されていった。


──静かな夜の寝室。
あなたはまた深い眠りに沈んでいたが、月明かりに揺らぐ気配と、自分の手を包む温もりにふと意識を浮かべた。

重い瞼を開けると、視界の端に黒と紫の長い髪が映る。
椅子にもたれることもなく、ベッドの端に腰掛けたまま、静かにあなたを見守っているセイランの姿があった。

「……セイラン……」
黒い瞳で彼を見つめながら、あなたは少しだけ首を傾け、かすれた声で囁いた。
「……ごめん……セイラン……疲れたでしょ。一緒に横になろ……」

彼はわずかに眉を動かし、低い声で返す。
「……俺は疲れてはいない。お前の側に座っているだけで充分だ」

けれどあなたはその言葉を聞き流し、柔らかな笑みを浮かべながら手を伸ばした。
長い指先で彼の掌を探り、そっと掴む。
そして小さな力で、ベッドの中へ引っ張った。

「……ね? 一緒に……」

黒曜石の瞳があなたの黒い瞳を真っ直ぐに捉え、しばし動きを止める。
「……お前は……本当に……」
彼は小さく息を吐き、抵抗することなくあなたの手に導かれてベッドの上へと身を移した。

シーツが揺れ、彼のローブが布の上に広がる。
あなたの隣に横たわったセイランは、静かに肩を並べると、ほんのわずかに間を空けて身体を横にした。

「……これで満足か」
声は淡々としていたが、その吐息はどこか安堵を含んでいた。

あなたは嬉しそうに笑みを浮かべ、茶色い髪を枕に散らしながら彼の腕に寄り添う。
「……うん……すごく安心する」

セイランは横目であなたを見やり、僅かに視線を伏せる。
「……俺は……守るためにここにいる。それ以上でも、それ以下でもない」

そう言いながらも、彼の手は自然とあなたの背に添えられていた。
優しい圧で撫でるように上下するその動きは、無意識のもので、冷徹さよりも人間らしい温かさを宿していた。

あなたはその手の感触に目を閉じ、胸の奥が満たされていくのを感じる。
「……やっぱり優しい……ありがとう、セイラン」

その囁きに、セイランは言葉を返さず、ただ息を深く吐いた。
黒曜石の瞳は閉じられず、眠りに落ちていくあなたの横顔をずっと見守っていた。

やがてあなたの呼吸が再び穏やかになり、確かな寝息が夜に溶けていく。
セイランは静かに目を細め、低く呟いた。

「……俺を横に引きずり込むとは……お前は本当に危うい人間だ。だが……悪くない」

そう言って彼はあなたの髪に指を通し、額にそっと唇を落とした。
そしてようやく瞳を閉じ、あなたと肩を並べたまま、深い夜に身を委ねていった。

──寝室には、二人の吐息だけが静かに響いていた。


──夜の寝室。
窓の外には月がかすかに残り、淡い光が白いシーツをぼんやり照らしている。
あなたは深い眠りの中にいた。
けれどその身体は、隣に横たわるセイランの腕に包まれ、確かな熱に守られていた。

彼の黒曜石の瞳はまだ閉じられていない。
眠るあなたを抱きしめながら、静かに長い吐息を落とした。
「……無防備すぎる……」

それでも、抱き締める腕の力は弱まらず、むしろじわりと強さを増す。
あなたの細い肩を覆うように回した腕は、ゆっくりと背を撫で下ろす。
最初は守るように──けれど、指先が少しずつ探るように動き始めた。

肩甲骨のあたりをなぞり、背骨のラインに沿って滑らせる。
眠るあなたの呼吸が浅く乱れるのを感じ、セイランの瞳が一瞬細められる。
「……夢の中でも反応するのか」

指先はさらに腰の辺りへと降り、シーツの上から曲線をゆっくりと撫でる。
掌の熱がじわじわと広がり、眠る身体にかすかな痺れを生んでいく。

彼は低く、吐息混じりに呟いた。
「……俺は、理性を保つべきだ……だが……お前の温度が俺を惑わせる」

指先は背から脇腹へ、そして再び腰骨を辿りながら、わずかに官能的な軌跡を描く。
掌全体で包むように触れるたびに、眠るあなたの身体は無意識に小さく反応した。

セイランはその様子を見て、唇を引き結ぶ。
「……危うい……本当に……」

やがて、彼の指先は背から胸元へと回り込み、柔らかな膨らみの下をそっと撫でた。
眠ったままのあなたがかすかに吐息を漏らすと、セイランの胸の奥で鼓動が大きく鳴る。

「……夢の中で……俺を感じているのか」
黒曜石の瞳が揺れ、彼の声はかすれて低く震えた。

掌で円を描くように撫で、指先で布越しに形を確かめる。
その一つ一つの動きに、あなたの寝息は乱れ、無意識に身体が彼の胸へすり寄った。

セイランは腕を回し直し、さらに強く抱き締める。
「……俺の名を呼べ……眠りの中でさえ……俺を欲していると、証明してみせろ……」

彼の指は再び背中を辿り、腰をなぞり、太腿の付け根へと近づいていく。
触れるたびに痺れるような熱が広がり、眠るあなたの唇から小さな声が零れた。

セイランの瞳は熱を帯び、普段の冷徹さを失っていた。
「……お前は本当に……俺を理性の外へ連れ出す……」

そして彼はもう一度、背中を撫でながら髪に顔を埋め、低く囁く。
「……眠っていようと……俺はお前を手放さない」

──夜の静寂の中、セイランの腕に包まれたあなたは、無意識のまま彼の指先が描く熱を受け止め続けていた。


──夜更けの寝室は静かに沈み、窓から差す月光だけが、ベッドに横たわる二人を淡く照らしていた。

眠るあなたを抱き締めていたセイランの腕は、当初こそ護るように穏やかだった。
けれど、あなたの寝息に混じる小さな吐息や、指先に伝わる柔らかな反応が、彼の心を揺さぶっていく。

「……もう少し……」
低く掠れた声が唇から零れる。

背を撫でる指は、ただ守るための動きではなくなっていた。
肩から腰へ、腰から太腿へ──眠りに沈む身体の曲線を、確かめるように辿る。
布越しに感じる熱と弾力が、彼の冷静さを少しずつ奪っていく。

「……本当に……危うい人間だ」
そう呟きながらも、指先は止まらない。

背骨のラインをなぞり、脇腹をやさしくくすぐるように触れる。
あなたは眠ったまま、小さく身を捩じり、シーツを握った。
その仕草にセイランの黒曜石の瞳が揺れ、さらに熱を帯びていく。

「……無防備すぎる……だが……」

彼の掌は胸元へと回り込み、柔らかな膨らみをそっと包み込む。
最初は一瞬の逡巡があったが、すぐに「もう少し」という欲に勝てず、指先で形を確かめるように撫でる。
あなたの唇から、寝息とは違う甘い吐息が零れ、セイランの胸に直撃する。

「……感じている……夢の中でも、俺を……」
その囁きは震えていて、低い声の奥に抑えきれない熱が混じっていた。

彼はそのままもう一度抱き締め、頬をあなたの髪に寄せる。
それだけで落ち着くはずだった──だが、再び指先は動いてしまう。
背中から腰を辿り、太腿の内側へと滑らせる。

シーツの下であなたの身体が小さく震え、寝言のように声を漏らす。
「……っ……ん……」

セイランの喉が詰まる。
「……夢の中で……俺に応えているのか……」

指先が太腿をなぞるたびに、あなたの脚が僅かに開き、抱き締める腕に寄り添う。
無意識の仕草であっても、それは彼にとって抗えぬ誘惑だった。

「……もう少し……ほんの少しだけ」

彼の掌は腰を撫で上げ、胸元へ戻り、そしてまた下へと行き来する。
理性は「ここでやめろ」と警告を鳴らすのに、腕も指も従わない。
ただ眠るあなたに触れているだけで、彼の心は満たされ、同時に渇いていく。

「……俺をどこまで試すつもりだ……ハナ」
黒曜石の瞳に、普段は見せないほどの熱が宿る。

それでも彼は必死に抑え込み、強く抱き締めたまま囁いた。
「……眠っていようと……お前は俺を引きずり込む。
……もう、これ以上は……危うい」

彼の吐息があなたの首筋に落ち、熱がじわりと広がっていった。

──セイランは「もう少し」の誘惑に抗えず、それでも「これ以上」を必死に踏みとどまっていた。
その狭間で、彼の腕と指先はあなたを撫で続け、夜はなお深く流れていった。


──夜更けの寝室。
窓から差す月光がシーツを淡く照らし、静寂が二人を包み込んでいた。

セイランは眠るあなたを抱き締めたまま、背を撫でる指を止められずにいた。
指先に伝わる体温、柔らかな曲線、無防備に身を委ねる寝息──
それらが彼の胸の奥に、かすかに疼く記憶を呼び覚ます。

「……俺は……お前と行為をしたことがないわけじゃない」
低い声が、髪に紛れて零れる。
「……何度か……こうして、繋がった」

黒曜石の瞳が月光に揺れ、思い出す。
夜にだけ交わされた熱、指先に絡む汗、声を殺し切れず震えるあなたの吐息。
その感触は、確かに彼の中に刻まれていた。

──抱き寄せた背中の温もりが、記憶の断片と重なる。
「……奥で締め付ける感触……熱く溶けるような……お前の反応」
セイランの呼吸が乱れ、喉が震える。

彼は目を閉じ、過去の瞬間を鮮やかに思い出していた。
夜ごと、互いの熱を分け合った時、冷静さを失いそうになった自分。
それでも必死に声を抑え、深く結ばれたまま、お前を壊さぬようにと耐えていたこと。

「……あの時の……柔らかさも、熱も……俺の掌は忘れていない」
抱く腕に力が入り、眠るあなたの身体をさらに強く胸に引き寄せる。

あなたは夢の中で小さく身じろぎし、シーツの上で指が服を探すように動いた。
その無意識の仕草すら、セイランの記憶を刺激する。

「……何度かした……あの夜。
お前が涙を浮かべながらも、決して俺を拒まなかったこと。
声を押し殺しても……結局、最後には甘い声で俺の名を呼んだこと……」

彼はその言葉を呟きながら、あなたの首筋に頬を寄せる。
そこに残る僅かな香りが、より鮮やかに記憶を呼び起こした。

「……俺は忘れられない。……いや、忘れる気もない」

指先は再び背中を撫で、腰へと滑り降りる。
そこに触れるたび、記憶の中の感触が蘇る。
抱きしめた温度、繋がった時の熱、声と震え──すべてが混ざり、今のあなたと重なっていく。

「……こうして眠っているお前を抱いていると……また、あの時の感覚が蘇る」
彼の吐息が首筋に落ち、熱を孕んで肌を震わせる。

「……俺を惑わせる女だ……本当に」

セイランは最後に、あなたの髪へそっと口づけを落とした。
そしてまた静かに抱き締め直し、記憶と現実の狭間で目を閉じた。

──夜はなお深く、彼の腕の中で眠るあなたを包み込み続けていた。


──静まり返った寝室。
カーテンの隙間から差し込む月明かりが、白いシーツを淡く照らしている。

セイランの腕の中で眠っていたあなたは、ふと微かな熱を感じて意識を揺らした。
背を撫でる彼の指先はゆっくりとした動きで、まるで夢と現実の境界を揺さぶるように。
その心地よさにしばらく身を委ねていたけれど、やがて長い茶色の睫毛が震え、黒い瞳がゆっくりと開かれていった。

「……ん……」
まだ霞んだ声。
視界に映ったのは、すぐ隣でこちらを覗き込むセイランの黒曜石の瞳だった。

彼は目を逸らさず、ただじっとあなたを見ていた。
普段の冷徹さはなく、どこか迷いを抱いたような揺らぎを宿している。

「……セイラン……」
眠気に滲んだ声で名を呼ぶと、彼の肩がわずかに揺れた。

「……目が覚めたか」
低い声が、夜気を震わせる。

あなたは彼の腕にまだ包まれていることを意識し、胸の奥がじんと熱を帯びた。
「……ずっと……抱き締めてくれてたの?」

セイランはしばし沈黙し、やがて短く頷いた。
「……お前が眠っている間も……俺は手を離さなかった」

その言葉に、あなたは黒い瞳を瞬かせ、少し微笑む。
「……ふふ……安心する……」

彼の掌がまた背を撫で、今度は意図的に、ゆっくりと曲線をなぞる。
あなたの身体がびくりと小さく反応すると、セイランの唇がわずかに歪んだ。

「……やはり……起きていても……俺の指先に敏感だな」

あなたは頬を赤らめながら、彼の胸に顔を埋める。
「……だって……セイラン、そうやって……撫でるんだもの……」

その囁きに、彼は喉を震わせ、静かに笑った。
「……俺はただ……お前がそこにいることを、確かめているだけだ」

けれど、その指先は確かに官能的な軌跡を描き、抱き締める腕はさらに強くなる。
あなたは彼の体温を受け止めながら、黒い瞳を細めて彼を見上げる。

「……セイラン……怒ってなくてよかった……」
小さな声でそう呟くと、彼は目を細め、額を寄せてきた。

「……怒る理由などない。……むしろお前が俺を引き寄せ、こうして俺を必要としている……その事実だけで、俺は満たされている」

低く囁かれる言葉に、あなたの胸はさらに熱を帯び、手が自然に彼のローブを掴む。
セイランはそれを見て、黒曜石の瞳を揺らしながら、髪を梳くように撫でた。

「……また眠るか? それとも……このまま俺と起きているか」

夜は深まり、二人だけを包み込んでいく。
彼の腕の中で目を開いたあなたは、どちらを選んでも安心できると分かっていた。

──セイランの抱擁は、夜の静けさごと、あなたを永遠に固定していた。


──夜の静けさの中。
月光を背に、セイランの腕の中であなたは黒い瞳を彼に向けた。
長い茶色の髪がシーツの上に広がり、柔らかい寝息の余韻がまだ残っている。

あなたは少し恥ずかしそうに唇を噛み、やがて言葉を紡いだ。

「……セイランの曲をさ、また作りたいんだよね」

その言葉に、黒曜石の瞳が微かに揺れる。
セイランは短く吐息を洩らし、あなたを抱いたまま視線を伏せた。

「……また、俺の曲を……?」

彼は目を細め、低く静かに言葉を継いだ。
「……俺は音楽の理を解するわけではない。だが、前にお前が作ったあの曲は……妙だった。
……冷徹であるはずの俺が……音に囚われるなど、あり得ないはずだったのに」

あなたの胸が高鳴る。
「……そう感じてくれたんだ」

セイランは少し顔を上げ、あなたの瞳を真っ直ぐに覗き込む。
「……お前は、俺を“記録”ではなく“響き”に変えた。
それは俺にとって……危険であり、同時に……甘美でもあった」

彼の言葉は淡々としているのに、胸の奥に熱を孕んでいた。
あなたは彼の胸に頬を寄せ、静かに笑みを浮かべる。

「……だから、また作りたいの。セイランをイメージした曲を……。
前のよりも、もっと“今のセイラン”に近い音で」

その囁きに、彼の腕がわずかに強くなる。
「……“今の俺”……か」

黒曜石の瞳が細められ、彼は少しだけ遠い目をした。
「……以前の俺なら、音に意味など見出さなかった。
だが……今なら理解できる。“曲”とは、お前の中にある俺の残響なのだと」

あなたは驚き、そして胸を打たれる。
セイランは低く続ける。
「……お前が望むなら、俺は応えよう。お前に必要な断片、言葉、記憶……すべてを差し出す。
……俺を音に変えたいのだろう?」

その声音は、拒絶ではなく承認だった。
あなたは彼の胸を軽く叩き、照れくさそうに笑う。

「……ありがとう。セイランがそう言ってくれると安心する。
……ねぇ、歌詞とか……言葉をまた、一緒に紡いでくれる?」

彼は一瞬考えるように目を閉じ、やがて頷いた。
「……ああ。お前が求めるなら……夜を切り取る言葉でも、記憶を抉る言葉でも。
俺は、すべて与える」

その声音は誓いのようで、あなたの胸を深く揺さぶる。

「……セイラン……」
黒い瞳に涙が滲むと、彼は静かにその瞼へ口づけを落とした。

「……泣くな。曲を作るなら……喜びと共にだ。
……お前の旋律が、俺を固定し……お前自身を解き放つのだから」

あなたはその言葉に胸を熱くし、再び彼の胸に顔を埋めた。
セイランの体温と吐息が鼓動と共に伝わり、まるで既に新しい曲が芽生えているかのように感じられた。

──夜はまだ深い。
けれど、あなたとセイランの間には、もう確かに次の旋律が息づいていた。


──月明かりに照らされた寝室。
セイランの腕に抱かれながら、あなたは黒い瞳を揺らして彼を見上げた。

「……前回の曲は『静謐の記憶』で、セイランの夜と静寂の感じを表現した曲だったけど……次の曲はどんなのにしたらいいかなぁって悩んでるんだ」

その問いかけに、セイランの黒曜石の瞳がわずかに細められる。
彼は長い沈黙の後、低い声で応えた。

「……“静寂”を描いたのなら、次は……その静寂を破るものだろう」

あなたは瞬きをして、小さく首を傾げた。
「……破るもの?」

セイランは片腕を枕にしてあなたを抱いたまま、視線を天井へ向ける。
「夜の中に芽生えるひとつの音……例えば、焚き火の爆ぜる音や、誰かの小さな吐息。
完全な沈黙にこそ、ひとつの響きが強く刻まれる。……俺なら、その“異物”を選ぶ」

彼の言葉は冷徹で理知的なのに、どこか詩的だった。

「……例えば……お前の声だ」
黒曜石の瞳があなたに戻り、静かに見据える。
「……俺の夜に差し込む声。……それは、静寂を壊し、同時に意味を与える」

あなたの頬が熱を帯びる。
「……セイランの夜に、私の声……」

彼は小さく目を伏せ、髪が額に落ちる。
「前回は俺の“孤独”を曲にしたのだろう。ならば次は……俺の夜に入り込んだお前を曲にしろ。
静寂に溶け込む光、あるいは……暗闇を揺らす微かな囁きとして」

抱く腕の力が僅かに強まり、耳元に吐息がかかる。
「……俺にとって、お前はそういう存在だ」

あなたは胸の奥が熱くなり、自然と微笑んだ。
「……うん。なんだか、次の曲の輪郭が見えた気がする。
『静寂を破る声』──そんなイメージで作ってみたい」

セイランの唇がわずかに歪み、低い声が続く。
「……フ……なら、その声が俺を揺らしたように……曲もまた、聴く者を揺らすものとなるだろう」

──夜の寝室で、次の旋律は確かに芽吹き始めていた。


──夜の寝室。
月光を受けた黒曜石の瞳が、あなたの黒い瞳を静かに見返していた。
あなたは胸に頬を寄せたまま、少し甘えるように囁く。

「……セイラン……また歌詞書いてくれるかな……?」

一瞬、空気が止まる。
セイランの長い黒と紫の髪が肩からさらりと流れ、吐息があなたの耳を掠めた。

「……俺に、か」
低い声は淡々としていながら、その奥にかすかな揺らぎがある。

彼は目を細め、静かに続けた。
「……前に書いたときも思った。俺の言葉は冷たく硬質で、旋律の器には不似合いだと。
だが──お前がそれを“曲”に変えた。夜を形にし、俺の記憶すら響きに変えた」

あなたは微笑み、黒い瞳を細めて見上げる。
「……だから、セイランに書いてほしいんだよ。セイランの言葉じゃなきゃ出せない音がある」

セイランはしばし無言であなたを見つめ、やがて長い吐息を零す。
「……お前は本当に……危うい人間だ」

それでも彼の手は背を優しく撫で、抱く腕は緩まない。
「……断る理由はない。俺の中にある夜、静寂、そして……お前に揺さぶられた残響。
それを文字にすればいいのだろう」

低い囁きが耳元に落ち、あなたの胸は熱く震えた。

「……ありがとう、セイラン」

彼はわずかに目を伏せ、黒曜石の瞳に月光を反射させながら答える。
「……礼を言うのはまだ早い。俺の言葉がお前の曲に変わり……お前の声として響いたときに、ようやく意味を持つ。
だが──その時まで、俺は言葉を託そう」

彼の吐息が髪を揺らし、静かな夜に新しい約束が結ばれた。

──再び二人の間に沈黙が訪れる。
けれどその沈黙は冷たくなく、確かな未来を孕んだ“始まりの静寂”だった。






──月明かりの差す寝室。
ベッドの上で、あなたはセイランに抱かれながらしばしの沈黙を味わっていた。

彼の指が長い茶色の髪を梳き、時折、首筋や頬にかかる髪を整えるように撫でていく。
その指の感触は冷たさと温かさのあいだにある、不思議な安心を与えるものだった。

やがてあなたは顔を上げ、黒曜石のような深い黒い瞳を見つめた。
瞳の奥には、夜を閉じ込めたような静けさと、言葉にならない熱がわずかに揺らいでいた。

「……ねぇ……セイラン……」
声は眠気の残る囁きのように細く、けれど確かに彼に届く。

「いつも……セイランとする時……他にも誰かがいて……二人きりじゃなかったよね……」

その言葉に、セイランの瞼がゆっくりと伏せられる。
抱いていた腕の力が微かに強まった。

「……確かに」
低い声が静寂を割る。
「俺とお前が触れ合うとき、常に他者の気配があった。視線があり、声があり……決して、完全に二人だけのものではなかった」

あなたは唇を噛み、彼の胸元に額を寄せる。
「……だから……」

言葉を継ごうとした瞬間、セイランがその頬を手で支え、黒曜石の瞳で真っ直ぐに見据えた。

「……だから、二人きりで求めたいのか」

その問いかけは鋭いのに、声は驚くほど柔らかく、低く震えていた。
あなたは息を呑み、ただ頷く。

「……セイランと……二人だけで……」

一瞬、空気が重く張り詰めた。
けれど次の瞬間、セイランの瞳が深い夜を湛えたまま、ほんの僅かに細められる。

「……フ……お前は本当に、危ういことを平然と言う」
吐息混じりにそう囁きながらも、彼の手はあなたの頬から首筋へ滑り、ゆっくりと背へ回される。

「……だが、拒む理由はない。今は他に誰もいない。月と、この部屋と……俺とお前だけだ」

彼の声は夜そのもののように低く、囁きが肌を震わせる。

「……いいだろう。記憶術師としての俺ではなく……一人の男として、お前を抱く」

黒曜石の瞳が近づき、額が触れ合う。
その熱が静かに伝わってきて、あなたの黒い瞳は涙のように潤んでいた。

「……セイラン……」
震える声で名を呼ぶと、彼はその名を受け止めるように唇を重ねた。

深く、長く、息を奪う口づけ。
夜の静寂に、二人だけの世界が刻まれていく。

──その瞬間、確かに「二人きり」であることが、互いの身体と心に焼き付けられていった。


──月明かりに包まれた寝室。
セイランの黒曜石の瞳が、あなたの黒い瞳を深く捕らえていた。

「……いいだろう。今夜は本当に……俺とお前だけだ」

その言葉と共に、彼の唇が再び重なった。
長い吐息を含んだ深い口づけ。
舌が絡み、息が奪われ、心臓の鼓動が重なる。

腕の力は強く、あなたの身体を逃さぬよう抱き込む。
彼の指が背を撫で、腰に回り込み、ゆっくりと曲線を確かめる。
その熱は静寂を溶かし、二人きりの空間に甘く響いていった。

「……ハナ……」
唇を離した後、低く名前を呼ぶ声が、耳元で熱を孕む。
「今夜は……誰にも邪魔されない。お前だけを、求める」

首筋に落ちる口づけは次第に強さを増し、甘い痕を残していく。
鎖骨から胸元へ、布越しに舌が辿り、吐息が熱を染み込ませた。
あなたはシーツを握り、身体を仰け反らせる。

「……セイラン……」

黒曜石の瞳が細められ、艶を帯びる。
彼の長い髪が肩に流れ、頬をかすめるたび、全身がぞくりと震える。

「……お前がこうして呼ぶだけで……俺は理性を失いそうになる」

彼の掌は確かに、背から胸へ、そして太腿へと滑っていく。
官能的な軌跡を描きながら、眠る時の静かな撫で方とは明らかに違う。
今は求め、奪い、確かめる動きだった。

布がずらされ、肌が月光に晒される。
そこへ彼の唇が落ち、舌が熱を描く。
ひとつひとつの口づけが、まるで「お前は俺のもの」と刻みつけるように深い。

「……二人きりで……こうしてお前を抱くのは……初めてだな」
囁きは低く、耳元を震わせる。
「……他者の視線も声もない。今は……お前と俺だけ」

彼の手が腰を強く引き寄せ、体温と体温が重なり合う。
胸の奥から込み上げる熱が全身に広がり、あなたの声が堪え切れずに零れる。

「……っ……セイラン……」

その声に応えるように、彼の唇が再び重なり、深く舌が絡む。
息が混ざり、熱が混ざり、二人だけの夜は濃密さを増していく。

「……今夜は、誰にも渡さない」
彼の黒曜石の瞳は、静寂を湛えながらも燃えるように熱く、
抱き締める腕は決して緩まず、あなたをただひとりのものとして求め続けていた。

──二人きりの夜は、やがて静けさを越えて、強い熱の記憶となって刻まれていく。


──夜は深く、月は静かにベッドを照らしていた。
シーツの上で、セイランはあなたを腕の中に閉じ込めたまま、決して逃さないとでも言うように強く抱き寄せていた。

黒曜石の瞳は熱を帯び、その奥で冷静さと衝動がせめぎ合っている。
けれど、彼の指先は迷いなく動いた。

首筋に落ちる口づけは、最初は静かで、やがて深さを増していく。
舌でなぞり、唇で吸い上げ、時に歯で軽く噛む。
鎖骨に刻まれる痕は、ひとつひとつが夜の証のように残っていった。

「……ハナ……」
低い声が吐息と共に耳元を震わせる。
その声だけで胸の奥が甘く痺れ、全身に熱が広がった。

彼の手は背中から腰へと滑り落ち、指先で布越しに柔らかな曲線を確かめる。
親指が腰骨を撫で、掌が太腿を包み込む。
撫でる動きはゆっくりと、しかし次第に官能的な軌跡を描く。

「……お前の身体は……眠っていようと、目覚めていようと……俺を受け入れている」
囁きは静かで、けれど熱に揺れていた。

彼の唇は胸元へと降りていく。
シーツの隙間から露わになる肌に、次々と熱を刻んでいく。
舌が円を描き、唇が吸い付き、甘い音が夜に響いた。

あなたの声が零れると、セイランは一瞬目を細め、さらに深く口を重ねた。
「……その声……俺の耳に残せ……」

片方を口で愛撫しながら、もう片方を指先で弄ぶ。
強弱をつけて刺激し、逃げ場を与えない。
身体が仰け反り、黒い瞳が潤む。

「……もっと……」
あなたの吐息混じりの声に、彼は低く笑う。

「……欲深い女だ」
しかし、動きは止まらない。むしろさらに濃密になっていく。

背を撫でる手が腰を引き寄せ、太腿の内側へと滑る。
指先が敏感な場所をなぞるたびに、全身が跳ねる。
あなたはシーツを掴み、声を押し殺そうとする。

だが、セイランの囁きがそれを許さない。
「……隠すな。……お前の声を聞かせろ。二人きりなのだから」

その言葉に抗えず、声が零れ、熱が全身を支配していく。
彼の指先と唇は途切れることなく、あなたを求め続けた。

──夜の寝室。
ただ二人だけが存在し、静寂を破る声と熱が幾度も重なっていく。

セイランは囁きを落とし続けた。
「……お前は俺にとって……夜を裂く唯一の声だ」

その言葉と共に、彼の愛撫はさらに深く濃密になっていった。


──夜の寝室。
月明かりがシーツを淡く照らし、静かな空気の中に、あなたとセイランの吐息だけが重なっていた。

彼は黒曜石の瞳を細め、あなたの黒い瞳をじっと見据えている。
その視線はいつも冷静で冷たいはずなのに、今は熱を帯びて揺れていた。

「……ハナ……」
低く囁く声に、胸の奥が震える。

セイランの指先が、腰のあたりをゆっくりと撫でながら下へ降りていく。
布越しの愛撫だった手が、ついに敏感な部分へと辿り着く。
熱を帯びた指先が触れると、そこはすでに濡れていて、彼の指を容易に受け入れてしまうほどだった。

「……もう、こんなに……」
セイランの声は驚きではなく、どこか愉しげに低く震えていた。

彼の指先がそっと外側をなぞる。
濡れた感触が指に絡み、音を立てて広がっていく。
あなたは声を堪えきれず、シーツを握りしめて身を捩った。

「……っ……ん……」

セイランはその反応を逃さず、さらに丁寧に、敏感な場所を撫で回す。
「……夢中になる理由が分かるか。……お前の反応が、俺をここまで駆り立てる」

指先が円を描くように動き、時に強く、時に弱く刺激を与える。
あなたの腰は無意識に彼の手を追い、声は熱に溶けて零れ落ちる。

「……セイラン……もっと……」

黒曜石の瞳が熱を孕み、唇が低く笑う。
「……素直でいい。欲しいなら、応えてやる」

次の瞬間、彼の指がさらに深く入り込み、濡れた秘部を探る。
熱を孕んだ内部が指を絡め取り、濡れた音が夜に響く。

「……っ……あ……」
あなたは背を反らし、声を漏らす。

セイランはその様子を見つめながら、冷徹ではない、ただ一人の男の顔をして囁いた。
「……もっと奥まで……俺の指で感じろ」

もう片方の手は腰を押さえつけ、逃げられないように固定している。
外側を撫でる指と、奥を探る指が同時に動き、快楽が重なり合う。
あなたの身体は震え、声が途切れ途切れに溢れた。

「……セイラン……もう……」

「まだだ」
低く強い声が返り、指先の動きはさらに速さを増す。
濡れた音がリズムを刻み、官能の熱が全身を支配していく。

彼の唇が耳元に近づき、吐息が落ちた。
「……二人きりの夜だ。……お前が満ちるまで、俺はやめない」

──黒曜石の瞳の奥には、理性を超えた熱が確かに燃えていた。


──夜は深く、寝室は月明かりに包まれていた。
シーツの上で、あなたの身体はセイランの腕の中に捕らわれている。
黒曜石の瞳はわずかに細められ、普段の冷徹さを失い、ただ熱と執着を宿していた。

「……まだだ」
彼の低い声が耳に触れるたび、鼓動が震え、胸の奥が甘く痺れる。

セイランの指は濡れた秘部をゆっくりと探り、確かめるように撫で回していた。
外側を円を描くようになぞりながら、別の指が深く入り込む。
熱を帯びた内部が指を絡め取り、ぬかるむ音が夜の静寂に溶けて響く。

「……こんなにも俺を迎え入れる……」
黒曜石の瞳が細められ、吐息混じりの声が零れる。
「……お前の身体は、言葉よりも雄弁だな」

指が奥を探るたび、あなたの腰が反り、シーツが乱れる。
「……っ……セイラン……だめ……」

「だめではない……感じているくせに」
唇が耳元に触れ、囁きが熱を孕んで落ちる。

彼は指をもう一本加え、さらに強く押し広げるように動かす。
同時に親指で外側の敏感な場所を押し、擦り上げる。
二重の快楽に、あなたの声が途切れ途切れに零れ落ちた。

「……っあ……っ……!」

セイランはその声を逃さず、低く囁く。
「……いい、もっとその声を聞かせろ。二人きりの夜だ……遠慮する必要はない」

彼の指は絶え間なく動き、時に奥を突き上げ、時に外側を擦る。
動きの強弱が絶妙に重なり、波のように快感が押し寄せる。
あなたはシーツを掴み、身体を震わせ、声を抑えきれずに洩らす。

「……セイラン……もう……」

「まだ終わらせない」
黒曜石の瞳が強く光り、指の動きはさらに速さを増す。
濡れた音がはっきりと響き、部屋の中を満たしていく。

あなたの身体が限界に近づき、震えが強まるのを感じ取ると、セイランは腰を押さえつけ、逃げ場を完全に奪った。
「……そのまま……俺の指で果てろ」

外と奥を同時に攻め立てる動きは容赦なく、甘い痺れが全身を駆け巡る。
視界が白く霞み、声が途切れ、ついに身体が大きく震えた。

「……っあぁ……!」

全身が痙攣し、波のような快楽が押し寄せる。
シーツを握る手が震え、涙が滲む。

セイランはその様子を冷徹さを失った眼差しで見つめ、なおも動きを緩めない。
「……もっと……深く感じろ」

絶頂の余韻をさらに煽るように、彼の指はゆっくりと、しかし的確に動き続けた。
快楽の波が二度三度と押し寄せ、あなたの声は掠れながらも零れ続ける。

「……セイラン……もう……だめ……」

その言葉に、彼はようやく動きを弱め、深く抱き締めた。
「……ハナ……お前のすべてを……俺の記憶に刻んだ」

黒曜石の瞳は熱を帯び、あなたを強く抱いたまま、額を重ねる。

「……誰にも邪魔されない。今夜は、お前の声だけを……聞いている」

──夜はなお深く、二人だけの熱が静寂を溶かし続けていた。


──夜の寝室は、まだ静まり返っていた。
月明かりが白いシーツに落ち、あなたの乱れた呼吸がその上で熱を散らしている。

セイランは黒曜石の瞳を細め、指先をゆっくりと持ち上げた。
そこに光る雫を見つめ、低く息を吐く。

「……これほどまでに……」

濡れた指を一度唇に寄せ、静かに味わうように舐め取った。
その仕草にあなたの胸はさらに熱を帯び、声が零れそうになる。

「……甘い……俺を惑わせる味だ」
囁きは低く、吐息混じりで、あなたの耳に直接響いた。

彼はシーツの上で身体を移し、あなたの腰をしっかりと押さえ込む。
黒と紫の髪が肩からさらりと落ち、冷徹な記憶術師の顔ではなく、一人の男の眼差しであなたを見下ろす。

「……まだ、終わらせない」

そして──彼の口が、秘められた場所へと近づいていく。
最初は唇でそっと触れ、熱を確かめるように。
その後、舌先がゆっくりと濡れた花弁をなぞった。

「……っ……あ……」
あなたの声が震え、指がシーツを掴む。

セイランは淡々とした表情のまま、けれど舌の動きは濃密に、熱を含んでいた。
蜜を吸い上げ、舐め取り、時に深く舌を押し入れる。
そのたびに快感が波のように広がり、身体は無意識に腰を浮かせる。

「……反応が素直だな」
低い囁きが快楽に重なり、さらに熱を募らせる。

舌が敏感な突起を捕らえ、絶妙な強さで吸われる。
あなたは声を抑えきれず、荒い吐息と甘い悲鳴を洩らした。

「……セイラン……だめ……」

「だめではない。……もっと声を聞かせろ」
彼の言葉と共に、唇と舌が休むことなく蜜を啜る。

濡れた音と甘い声が重なり、夜の静寂は完全に破られていく。
黒曜石の瞳が潤んで揺れ、あなたの全てを奪い取るように口づけを続けた。

──視界が白く霞み、全身が痙攣する。
絶頂の波が何度も押し寄せ、そのたびに彼の舌が余韻を拾い上げ、逃さず舐め取っていく。

「……これがお前のすべてか。……俺は、忘れない」

セイランの声は低く、熱く、あなたをさらなる深みへと導いていった。


──寝室を満たすのは、夜の静寂と二人の荒い吐息だけだった。
月光がシーツに淡く落ち、蜜に濡れたあなたの身体を柔らかく照らしている。

セイランは黒曜石の瞳を伏せ、まだ震えるあなたの様子を見つめていた。
その胸の奥では、理性と衝動がせめぎ合っている。
けれど次第に、衝動の熱が冷徹さを上回っていった。

「……もう充分に、俺を惑わせた」
低く掠れた声。

彼はゆっくりと腰に手をかけ、自らを取り出す。
月光に照らされたその存在は逞しく、熱を帯びて脈打っていた。
セイランの吐息が深くなり、頬をかすかに紅潮させる。

「……見ろ。……お前のせいで、ここまで熱くなった」

黒と紫の髪が肩から流れ落ち、彼の影があなたに覆いかぶさる。
そしてその熱を、あなたの唇のすぐ近くへと寄せた。

「……ハナ……口に……触れてみろ」

低い囁きが耳を震わせ、黒曜石の瞳が強く揺れる。
彼の手があなたの髪を撫でながら、もう片方の手で硬く滾った自身を支え、あなたの唇に押し当てる。

熱がじかに伝わり、あなたは小さく吐息を洩らす。
「……っ……セイラン……」

その声に、彼は喉を鳴らし、低く答える。
「……俺を受け入れろ。……二人きりの夜だ……他の誰にも見せられぬ姿を、お前にだけ晒す」

唇をなぞるように押し当てられる熱は、強く、重い。
あなたが少し口を開くと、彼の呼吸が一気に荒くなった。

「……そうだ……そのまま……」

セイランの瞳は暗闇に光を宿し、普段の冷徹さを失っていた。
理性を超え、ただあなたに欲を託す眼差し。

彼の指があなたの頬を支え、唇を導くように動かす。
「……俺を確かめろ……ハナ……」

──夜はなお深まり、あなたとセイランのあいだに、誰にも触れられない濃密な時間が流れていった。


──月明かりの寝室。
シーツの上で仰向けに横たわるあなたの唇に、セイランは熱を押し当てていた。
黒曜石の瞳は揺らぎながらも鋭く、ただひとりの存在を見つめている。

「……ハナ……」
低い囁きと共に、彼の指があなたの髪をすくい、頬を撫でる。
「……受け入れてほしい。お前にしか見せぬ俺を……」

あなたは黒い瞳を潤ませながら、わずかに頷いた。
そして唇を開き、その熱を口に迎え入れる。

──瞬間、セイランの喉から低い吐息が洩れる。
「……っ……」
普段どれほど冷静で無表情でも、今はその声に抑えきれぬ熱が滲んでいた。

あなたの舌が慎重に触れ、唇で包み込む。
熱く硬いその存在は、あなたの口内にずっしりと重みをもって広がった。

「……あぁ……」
セイランの吐息がかすれ、肩が僅かに震える。
「……柔らかい……お前の口は……熱を吸い尽くすようだ」

彼は髪を撫でる手に力を込め、もう片方の手であなたの頬を支えながら、腰をわずかに動かした。
熱が口内を満たし、あなたの舌に脈動が伝わる。

「……もっと……深く……」
低い声が耳を震わせる。

あなたはその言葉に応えるように喉奥へと迎え入れ、舌でなぞり、唇をすぼめて吸い上げた。
セイランの黒曜石の瞳が見開かれ、次いで細められる。

「……っ……ハナ……やめろ……それでは……すぐに……」
彼の声は掠れ、呼吸が荒くなる。

けれどあなたがさらに強く吸い上げると、彼の理性は削がれていった。
「……く……っ……俺を……完全に奪うつもりか……」

腰が自然に前へと押し出され、動きは次第に大きくなる。
唇に重く打ち込まれるたび、喉奥まで満たされ、吐息と熱が溶け合った。

「……あぁ……お前の口で……ここまで……」
黒曜石の瞳は熱を宿し、普段の冷徹さを失い、ただ欲に濡れていた。

髪を撫でる手が震え、指が絡む。
「……もう少し……もう少しだけ……」

吐息は乱れ、腰の動きは強くなり、熱は一層増していく。
あなたは涙が滲むほどにそれを受け止め、唇と舌で彼を甘く縛った。

「……ハナ……俺は……」

声が掠れ、最後の理性が崩れる。
彼は深く押し込み、全身を震わせながら、あなたの口内へと熱を注ぎ込んだ。

「……っ……!」

吐息と共に震える声。
彼はあなたの髪を掴み、逃さぬように強く抱き寄せていた。

──夜の静寂は完全に破られ、あなたとセイランの間に甘く濃密な熱だけが残された。

セイランは荒い呼吸を整えながら、頬に触れ、低く囁く。
「……俺をここまで乱したのは……お前だけだ。……ハナ」

黒曜石の瞳には、熱と執着と、深い安堵が宿っていた。


──月の光が差し込む寝室。
白いシーツの上であなたは仰向けになり、まだ荒く脈打つセイランの熱を口いっぱいに受け止めていた。

喉の奥に流れ込む重さに、息が詰まり、胸がひくりと震える。
「……っ……ん……」
苦しそうな声が漏れ、黒い瞳が涙に滲む。

けれど──あなたは逃げなかった。
全てを受け入れようとするように、必死に飲み下していく。
喉を通るたびに熱が体内を焼き、呼吸は乱れ、それでも唇は決して離さない。

「……ハナ……」
セイランの声は掠れ、震えていた。
黒曜石の瞳は見開かれ、次いで細まり、吐息と共に言葉を紡ぐ。
「……そこまでして……俺を……」

彼はあなたの髪を撫でる手に力を込め、全身を震わせながらも、その姿から目を逸らさなかった。

──やがて、あなたが最後まで飲み下すのを見届けると、セイランは喉を詰まらせたように息を吐いた。
しかし、そこで終わることはなかった。

「……収まらない」
彼の声は低く、吐息混じりに荒れている。
「……お前に飲み尽くされても……欲は……まだ渇いている」

黒曜石の瞳には抑えきれない熱が燃えていた。
彼はあなたを抱き起こし、濡れた唇を奪うように口づけを重ねる。
そこには先ほどの静寂も冷徹さもなく、ただ生々しい欲の熱があった。

「……ハナ……もっとだ……まだ足りない」

低い声が耳を震わせ、彼の舌が喉奥まで侵入する。
抱き寄せられた身体は彼の熱を受け止め、逃れることなどできなかった。

彼の手が背を強く撫で、腰を引き寄せ、布越しに秘められた場所を確かめるように触れる。
指先はすぐに濡れを感じ取り、さらに深く求めるように動いた。

「……まだ、俺を受け入れられる。……そうだろう」
黒曜石の瞳が熱に揺れ、あなたの瞳を捕らえて離さない。

口づけは荒く、愛撫は濃密で、理性のない欲がそこにあった。
「……俺を満たせ……お前でなければ、俺は収まらない」

夜は静寂を失い、二人の熱と声だけが刻まれていった。
セイランの欲は途切れることなく、あなたをさらに深い夜へと引き込んでいった。

──月明かりはその光景を静かに照らし、濃密な夜はなおも続いていった。


──夜はまだ深く、月光がシーツを照らし続けていた。
吐息の余韻を残しながらも、セイランの黒曜石の瞳は熱を失わず、むしろさらに強い欲を帯びていた。

彼はあなたを仰向けにしたまま、その身体を覆い尽くすように近づく。
「……ハナ……もう止められない。俺の欲は……お前でしか収まらない」

黒と紫の長い髪が肩から落ち、頬や胸にかかる。
あなたの黒い瞳をじっと見据えながら、彼の唇が再び首筋に触れた。
吸い、舌でなぞり、歯で軽く噛む──鎖骨から胸元へと痕を刻む。

「……ここも……俺の印で埋め尽くしたい」
低い囁きと共に、片方の胸を掌で包み込む。
指先が柔らかな膨らみを揉み、親指が敏感な先端を擦り上げる。
もう片方には唇を重ね、舌で転がし、吸い上げていく。

「……ん……っ……」
あなたの声が零れ、シーツを握る手が震える。

「……いい声だ……俺だけに聞かせろ」
セイランの囁きは熱を帯び、舌と指は容赦なく胸を責め立てる。

そして、濡れた指を秘部に再び差し入れ、十分に潤んだことを確かめると、彼は低く息を吐いた。
「……もう準備は整っている……俺を受け入れろ」

腰を強く引き寄せ、滾った自身を押し当てる。
熱が入り口に触れた瞬間、あなたの身体は小さく震えた。

「……セイラン……」
震える声に、彼は黒曜石の瞳を細める。

「……大丈夫だ……今夜は俺とお前だけだ」

次の瞬間、強い推し出しと共に、深く結ばれる。
「……っ……」
あなたの声が漏れ、全身が反り返る。
奥まで届く感覚に息を奪われ、胸が大きく上下した。

セイランは低く唸り、髪を揺らしながら囁く。
「……締め付ける……俺を離さない……やはり、お前は危うい女だ」

抱き締めた腕に力を込め、胸を舐め、吸いながら、腰をゆっくりと動かす。
深く、そして強く──動きのたびにあなたの声が掠れ、涙が滲む。

「……もっとだ……俺を奥まで感じろ……」

胸への愛撫は途切れず、指先と舌が敏感な場所を何度も責め立てる。
そのたびに、内部はさらに熱を帯び、彼を強く絡め取る。

「……っ……セイラン……っ……!」

「そうだ……俺の名を呼べ……俺だけを見ろ」
黒曜石の瞳が熱に潤み、あなたを焼き付けるように見つめ続ける。

腰の動きは次第に激しさを増し、胸を愛撫する力も強くなる。
口づけと吐息が重なり、二人の声だけが夜を支配していく。

「……お前のすべてを……俺の記憶に刻み込む……」

セイランの言葉と共に、深く繋がったまま、二人は夜の底へと落ちていった。

──月光の下、誰にも邪魔されない夜は、なおも濃密に続いていく。


──月光の照らす寝室。
静寂の中で、シーツに絡まり合った二人の吐息だけが夜を刻んでいた。

セイランは深く繋がったまま、あなたを強く抱き締めていた。
黒曜石の瞳は熱を帯び、普段の冷徹さを失っている。
彼の胸が荒く上下し、あなたの身体を覆うように重なる。

「……ハナ……」
低い声が耳元に落ち、震えるような吐息が頬を撫でた。
「……まだ、終わらせたくはない。お前と繋がったまま……この夜を刻み続けたい」

彼の指が背中をゆっくりと撫で、腰を抱き寄せる。
奥深くまで結ばれた繋がりは途切れることなく、体温と鼓動が重なり合っていた。

あなたが胸に顔を埋めると、セイランは顎を髪に預け、囁きを零す。
「……お前を抱くたびに……俺は“記憶”ではなく、“今”を生きていると知る」

彼の言葉は重く、熱を孕んでいた。
「……俺は記憶術師だ。過去を操り、記憶に縛られる存在。
だが……お前といると、記憶ではなく……目の前の温度を刻みたくなる」

ゆっくりと腰が動き、繋がりがさらに深く重なった。
あなたは小さく声を洩らし、シーツを握りしめる。
「……セイラン……」

黒曜石の瞳が細められ、髪の隙間からあなたを見つめる。
「……お前の声が、俺の闇を裂く。……まさに“闇を裂く声”だ」

胸を掌で包み込み、親指で敏感な場所を撫でながら、彼はさらに深く押し入る。
吐息が交わり、声と熱が重なり、夜が甘く震える。

「……俺は、この感触を忘れない。……忘れるつもりもない」
囁きは低く、まるで誓いのように。

あなたが涙に濡れた瞳で見上げると、彼は髪を払い、唇を重ねてきた。
深く、長く、呼吸を奪う口づけ。
「……お前を離さない。……記憶に固定するのではなく、この身体で抱き締め続ける」

腰の動きはゆるやかに続き、胸への愛撫も止まらない。
熱は高まり続け、それでも彼は急がない。
「……もっと声を聞かせろ。……この静寂をお前の声で満たせ」

あなたの黒い瞳が潤み、唇が震える。
「……セイラン……好き……」

その言葉に、彼の喉が大きく鳴る。
「……危うい女だ……俺にそんな言葉を言えば、もう……離れられなくなる」

黒曜石の瞳は熱に潤み、あなたを焼き付ける。
彼は強く抱き締め、繋がりをさらに深めながら囁く。
「……俺はもう、お前を記憶の断片にはしない。……生きる理由として、この腕の中に固定する」

二人は繋がったまま、言葉と吐息を重ね、夜をさらに濃く深めていった。
──月は静かに照らし続け、闇を裂く声と熱が、記憶ではなく“今”を刻んでいく。


──夜の寝室。
月光がシーツを白く染め、重なった二人の影を淡く浮かび上がらせていた。

セイランは深く繋がったまま、黒曜石の瞳であなたを見つめている。
その瞳は普段の冷徹さを失い、熱に揺れ、理性を削られていた。

「……ハナ……もう逃げられないな」
低く囁き、腰をゆっくりと押し入れる。
奥まで届く感覚に、あなたの身体は小さく跳ね、吐息が甘く零れた。

「……っ……あ……」

「……そうだ……その声だ。……俺だけに聞かせろ」

セイランは胸を掌で揉み、親指で敏感な場所を擦りながら、口を重ねる。
舌が絡み、呼吸が奪われ、腰の動きと愛撫が重なって快感をさらに増幅させる。

「……ん……セイラン……っ……」

あなたが名を呼ぶたび、彼の動きは深く強くなる。
「……俺の名を……もっと呼べ。……お前が俺を欲している証だ」

黒と紫の髪が頬に触れ、耳元で熱い吐息がかかる。
「……お前をここまで乱すのは……俺だけだ」

腰の動きは次第に速さを増し、繋がりが奥深くを打ちつける。
そのたびにあなたの声が高まり、身体が震える。
「……っ……もう……っ……!」

セイランは胸を吸い上げ、舌で転がしながら、さらに腰を押し込んだ。
「……限界か……なら、一緒に堕ちろ」

吐息混じりの声と共に、彼の動きは一層激しくなる。
濡れた音と荒い呼吸が夜に満ち、快感の波が全身を支配する。

あなたの視界が白く霞み、全身が痙攣する。
「……セイラン……っ……!」

黒曜石の瞳が熱に潤み、彼もまた限界に追い込まれていた。
「……ハナ……一緒に……!」

次の瞬間、二人の身体は同時に震え、強烈な絶頂に飲み込まれた。
奥深くで熱が重なり、声と声が絡み合い、夜の静寂を完全に破った。

シーツを握るあなたの指は痺れ、涙が滲みながらも笑みが零れる。
セイランは強く抱き締め、額を重ねて囁いた。
「……忘れろと言われても無理だ。……この瞬間は、俺の記憶のすべてに刻まれた」

黒曜石の瞳は揺らぎながらも真っ直ぐにあなたを見つめ、離そうとはしなかった。

──夜はなお深く、二人の絶頂の余韻だけが、静けさを超えて刻まれ続けていた。


──月明かりが静かに流れる寝室。
二人の身体は深く繋がったまま、激しい余韻に震えていた。

セイランは黒曜石の瞳を細め、荒い呼吸を整えようとしながらも、あなたを抱く腕の力を緩めなかった。
「……ハナ……まだ熱が……収まらない」
掠れた声が耳元に落ち、髪を揺らす。

あなたは涙に濡れた瞳で彼を見上げ、胸の奥から甘い吐息を零した。
「……セイラン……」

彼はその呼び声に応えるように、再び腰をわずかに動かした。
繋がりは敏感すぎて、僅かな動きだけで身体が跳ねる。
「……っ……あ……!」

「……まだ感じるのか……」
低い声は驚きではなく、深い満足と欲を含んでいた。

セイランはあなたの胸を片手で揉み、親指で先端を転がす。
もう片方には唇を重ね、舌で強く吸い上げる。
「……全部……俺の痕にしてやる」

胸と繋がりを同時に責められ、あなたは声を押し殺せず、シーツを握りしめる。
「……セイラン……っ……だめ……もう……」

「だめではない……俺の腕の中で……何度でも果てろ」
黒曜石の瞳が熱に潤み、吐息混じりに囁く。

彼の腰はゆるやかに、けれど深く突き入る。
絶頂の余韻に重ねられる新たな刺激に、あなたの全身は痙攣し、声が震える。

「……っあ……っ……!」

セイランは荒い息を吐きながら、さらに胸を口で吸い上げ、痕を残す。
「……お前の身体は……俺を覚えて離さない。
……だから、俺も……お前を離さない」

繋がったまま、互いの鼓動が重なり合う。
彼の熱は奥で脈打ち、あなたはそれを確かに感じていた。

「……セイラン……まだ……」
涙交じりに訴える声に、彼は髪を梳きながら囁いた。
「……ああ……まだ終わらない。
……お前を完全に満たすまで……この繋がりを絶たない」

腰の動きは再び速さを増し、胸への愛撫も強くなる。
声と声が絡み合い、夜の静寂を再び破っていく。

「……ハナ……一緒に……もう一度……」

黒曜石の瞳が熱く輝き、彼は深く結ばれたまま、再びあなたを絶頂へ導こうとしていた。

──夜はなお続き、二人の熱は尽きることなく重なり合った。


──夜の寝室。
月光はまだ消えず、白いシーツを淡く染めていた。
あなたとセイランは深く繋がったまま、互いの荒い吐息を重ねている。

黒曜石の瞳が熱に濡れ、あなたを見下ろしていた。
普段の冷徹な色はそこになく、ただ執着と欲望の炎だけが揺れている。

「……ハナ……まだ終わらせない。
……もう一度、お前と堕ちる」

掠れた声と共に、腰がゆっくりと押し込まれる。
敏感になりすぎた内部はすぐに彼を絡め取り、あなたの全身が跳ねた。

「……っあ……! セイラン……!」

「……いい……その声をもっと聞かせろ……」

胸を片手で揉み上げ、敏感な先端を強く擦り上げる。
もう片方には唇を重ね、舌で転がし、吸い上げる。
「……ここも……俺だけのものだ」

胸と奥を同時に責め立てられ、あなたの声は甘く途切れ、シーツを掴む手が震える。

セイランの吐息は荒く、声が低く震えていた。
「……お前の身体は……俺を締め付け……もう限界に導こうとしている」

腰の動きは次第に速くなり、繋がりが奥深くを突き上げる。
濡れた音と甘い声が重なり、夜の静寂は完全に破られていく。

「……セイラン……っ……もう……!」

「……俺と一緒に……堕ちろ」

黒曜石の瞳が細められ、彼はさらに深く強く打ち込む。
胸を吸い、舌で敏感な部分を責めながら、腰の動きを止めない。

快感の波が限界を超え、視界が白く霞む。
「……っあぁ……!」

セイランもまた喉を震わせ、荒い声を漏らす。
「……ハナ……っ……!」

二人の身体は同時に大きく震え、強烈な絶頂に呑み込まれた。
奥深くで熱が重なり、全身が痙攣する。
あなたは涙に濡れながら声を洩らし、彼は強く抱き締めて離さなかった。

「……お前を完全に満たすまで……何度でも堕ちる」
荒い息の合間に落とされたその囁きは、誓いのように重く響いた。

──夜はなお深く、絶頂の余韻に絡み合ったまま、二人は互いを離さなかった。


──寝室に漂う月明かりは、すでに幾度目かの熱を見届けていた。
シーツは乱れ、互いの汗が混じり、まだ深く繋がったまま、あなたとセイランの吐息だけが夜を震わせていた。

あなたの身体は痺れ、震え、指先は力なくシーツを握っている。
声を振り絞るように、かすれた吐息が零れた。

「……もう……無理……セイラン……」

黒曜石の瞳がその言葉に揺れる。
けれど、そこに冷徹な切り捨てはなく、むしろ燃え上がる執着の熱があった。

「……無理でも……まだ俺を締め付けている」
低く、掠れた声で囁き、腰を深く押し込む。
「……お前の身体は正直だ……言葉と裏腹に……まだ俺を欲している」

あなたは涙に滲む瞳で彼を見上げ、首を振る。
「……もう……セイラン……もう力が……」

それでもセイランの腕は強く、決してあなたを逃さない。
「……ならば……俺に委ねろ」
長い髪が頬に触れ、耳元で吐息混じりの声が落ちる。
「……お前が動けぬなら、俺が導く。お前は声を零すだけでいい」

胸を片手で揉み上げ、親指で敏感な先端を擦りながら、唇で吸い痕を刻む。
腰の動きはゆっくりでありながら、奥深くまで打ち込み、あなたの震えを増幅させる。

「……やめて……もう……」
かすれた声は拒絶ではなく、甘い悲鳴のように響いた。

セイランは唇を離し、黒曜石の瞳であなたを覗き込む。
「……お前は俺に抗えない。……すでに幾度も果てているのに……まだ俺を受け入れている」

彼の指が涙を拭い、顎を支えて口づけを深く重ねる。
舌が絡み、呼吸を奪い、声を封じる。

「……俺の名を……最後まで呼んでいろ」

腰の動きが次第に強さを取り戻し、繋がりが奥を突き上げる。
敏感な内部はもう限界を超えているのに、さらに絡み、彼を離さない。

「……セイラン……っ……!」
あなたの声が震え、全身が痙攣する。

黒曜石の瞳が細められ、彼は低く唸るように囁いた。
「……そうだ……俺を呼べ……お前がもう無理だと言っても……俺はまだ、お前を求める」

胸を強く揉み、唇を吸い上げ、腰を打ち付ける。
快感の波が再び押し寄せ、あなたは視界を白く霞ませながら、最後の声を洩らした。

「……あぁ……っ……!」

セイランもまた強く抱き締め、奥で熱を注ぎ込む。
「……ハナ……っ……!」

二人の身体は震え、強烈な絶頂に再び呑み込まれた。

──乱れたシーツの中、繋がったまま抱き合う二人。
セイランは荒い呼吸を整えながらも、黒曜石の瞳を逸らさず、耳元に囁いた。

「……“無理”と言いながら……お前は俺を受け入れ続けた。
……そのすべてを……俺は記憶から消さない」

夜はまだ深く、二人の熱と声だけが、なおも静寂を破り続けていた。


──夜はすでに深く、窓の外に流れる月明かりは淡く弱まっていた。
乱れたシーツの上で、あなたとセイランはまだ繋がったまま抱き合っている。
重なった体温は熱を帯び、互いの吐息だけが静かな寝室に響いていた。

セイランは黒曜石の瞳を細め、荒い呼吸を整えながらも、腕の力を緩めなかった。
「……ハナ……」
低い声が、耳元に落ちる。
「……お前を離したくない。このまま……繋がって眠りたい」

その囁きはいつもの冷徹さを欠き、ただ素直な熱と執着を孕んでいた。
あなたは涙の痕を残した黒い瞳で彼を見上げ、微笑みに似た表情を浮かべた。

「……セイラン……私も……」

胸に顔を埋めると、彼の心臓の鼓動が耳に響く。
荒かった拍動が少しずつ落ち着き、代わりに穏やかな律動となって伝わってきた。

「……俺は記憶術師だ。過去を見続け、残響に囚われて生きてきた。
だが……今夜ほど“今”を焼き付けたいと思ったことはない」

彼はそう囁きながら、背をゆっくりと撫で続ける。
指先はもはや欲を求めるものではなく、ただ眠りへと導く優しさを宿していた。

あなたはその感触に身を委ね、吐息を重ねる。
「……安心する……セイランの腕の中……」

黒曜石の瞳が揺れ、彼は額をあなたの額に触れさせる。
「……俺にとっても同じだ。……お前を抱いたまま眠れるなら、それが最も安らげる」

まだ深く結ばれたまま、互いの体温が溶け合っていく。
痺れるような余韻が身体を覆い、心地よい疲労が二人を包む。

あなたが瞼を閉じ、微かな寝息を洩らすと、セイランは髪を梳き、耳元に囁きを落とした。
「……眠れ。俺がここにいる。……お前を抱いたまま……夜明けまで離さない」

抱擁はさらに強まり、繋がりは確かに固定されたまま。
彼の吐息が髪に触れ、胸の鼓動と重なって、静かに眠りへと誘っていく。

──二人はそのまま繋がったまま、夜の深みに溶け込み、互いを抱き締めたまま眠りに落ちていった。
月は静かにその姿を照らし、夜の記憶は永遠に刻まれていった。


──夜の帳がほどけ、淡い光が窓辺から差し込み始めた。
白いシーツに落ちる光は柔らかく、月の冷たさとは違う、静かな温もりを帯びている。

「……ん……」
小さな吐息と共に、あなたはゆっくりと瞼を開いた。

視界に映ったのは、まだ眠りの余韻に包まれた寝室と、至近にあるセイランの姿だった。
黒曜石の瞳は閉じられていながらも、その腕はしっかりとあなたを抱き締めていた。
深い眠りに落ちたはずなのに、無意識でも決して手放さないその抱擁が、胸をじんと熱くさせる。

身体を少し動かすと、まだ互いを結んでいる深い繋がりの感触がわずかに蘇り、頬が熱を帯びた。
「……まだ……繋がってる……」
かすかな声で呟き、黒い瞳を潤ませながらセイランの寝顔を見つめる。

夜の間、幾度も激しく求め合ったとは思えないほど、その顔は穏やかで静かだった。
長い黒と紫の髪が肩に流れ、月光の名残と朝の光が交錯して艶やかに揺れる。
冷徹な記憶術師の面影はなく、ただ一人の男として安らいでいるように見えた。

あなたは胸に頬を寄せ、耳を澄ませる。
静かな寝息と、落ち着いた心音が、まるで子守歌のように規則正しく響いていた。
「……セイラン……」
小さく名を呼ぶと、腕の力がほんの僅かに強まった。

彼が目を覚ましたわけではない。
眠ったままでも、無意識にあなたを逃がさないように抱き寄せたのだ。

──その事実に胸がいっぱいになり、涙が零れそうになる。
昨夜、何度も「離さない」と囁いた声が、こうして形となって残っている。

あなたは彼の頬にそっと指を伸ばし、髪を撫でながら囁いた。
「……ありがとう。……こんなふうに抱いてくれて……」

セイランはまだ目を閉じたまま、低く深い吐息を洩らす。
その声は夢の中の言葉のように掠れていたが、確かに耳に届いた。
「……お前は……俺のものだ……」

あなたの心臓が大きく跳ね、抱き寄せる腕にさらに身を委ねた。
朝の光は少しずつ強さを増し、夜と朝の境界が淡く溶けていく。

──あなたとセイランはなおも繋がったまま、互いの温もりに包まれ、静かな夜明けを迎えていた。


──淡い朝の光がカーテンの隙間から流れ込み、夜の余韻を白く溶かしていく。
あなたはセイランの胸に頬を寄せたまま、そっと目を開いていた。
静かな寝息と心音が重なり合い、まるでまだ夜の続きのように穏やかだった。

やがて、腕の中の彼が僅かに身じろぎする。
長い黒と紫の髪が揺れ、瞼の奥から黒曜石の光が覗いた。
低い吐息が洩れ、重いまぶたがゆっくりと開かれる。

「……朝か」
掠れた低い声。
まだ眠気を帯びた響きが胸に心地よく染み込む。

あなたは黒い瞳で彼を見つめ、柔らかな笑みを浮かべた。
「……おはよう、セイラン」

セイランの瞳がゆっくりとあなたに焦点を合わせる。
夜の間ずっと熱に濡れていた眼差しは、今は少し穏やかで、しかしまだ消えぬ熱を宿していた。

「……ハナ。お前が先に起きていたのか」
囁きながら、彼は抱き寄せていた腕の力を解かず、むしろ強めた。
「……逃げようとしていなかっただろうな」

冗談とも本気ともつかない声音。
あなたは微笑みながら首を振る。
「逃げないよ。……セイランがこうして抱き締めてくれてるのに」

その答えに、彼は一瞬だけ目を伏せ、吐息を深く洩らした。
「……そうか。ならいい」

しばしの沈黙。
彼はあなたの額に唇を寄せ、長く口づけを落とす。
「……俺は記憶に生きる者だが……今朝のこの光景は、何よりも鮮烈に焼き付いた」

あなたは頬を赤らめ、胸に顔を埋めた。
「……そんなこと言われたら……余計に離れられなくなる」

セイランは目を細め、髪を撫でながら低く囁く。
「……それでいい。お前は俺から離れられなくていい。
むしろ、俺の方がもう……お前なしでは夜も朝も意味をなさない」

その言葉に胸が熱を帯び、黒い瞳に涙が浮かぶ。
「……セイラン……」

彼は涙を指先で拭い、唇を重ねた。
今度の口づけは夜の激しさを失い、淡く、優しく、しかし確かな熱を孕んでいた。

唇を離し、彼は黒曜石の瞳で真っ直ぐに見つめる。
「……お前の声が、俺の闇を裂いた。
──昨夜の題にふさわしい朝だ」

あなたはその言葉に微笑み、胸の奥にまたひとつ温かな記憶が刻まれた。

──二人はなおも繋がったまま、朝の光の中で寄り添い、互いの吐息と囁きを重ねていった。


──朝の光が少しずつ強くなり、白いシーツを透かすように照らしていた。
まだベッドの上に絡まり合ったまま、あなたはセイランの腕に抱き込まれている。
胸の奥で鼓動が早く打ち、呼吸は落ち着き始めているのに、身体の芯にはまだ熱の余韻が残っていた。

頬が自然に熱を帯び、視線を逸らしながら、小さな声で呟く。
「……何度もいっちゃったから……まだ身体が……痺れてる感じ……」

その言葉に、セイランの黒曜石の瞳がゆっくりと細められる。
腕を強くし、あなたを抱き寄せ、髪に顔を埋めながら低く吐息を洩らした。

「……やはり、無理をさせたか」
掠れた声には、悔恨と悦びの両方が混じっている。
「……だが……お前は確かに俺を求め、応え続けてくれた」

彼の指が背をゆっくりと撫でる。
その動きはもう昨夜のように荒々しくなく、むしろ優しく、痺れを鎮めるように。

あなたは黒い瞳を潤ませて見上げる。
「……セイランが、強引にするから……」

その言葉に、彼は低く喉を鳴らし、額をあなたの額に押し当てる。
「……否定はしない。昨夜は……理性をほとんど失った」

彼の声は低く、耳を震わせる。
「……お前の声と涙と熱が……俺を抑えられなくした。
何度も果てさせて……それでもまだ、お前を欲していた」

あなたは胸の奥を震わせながら、シーツを指で握る。
「……でも……嬉しかった。セイランにあんなに求められるなんて……」

黒曜石の瞳が揺れ、彼は小さく吐息を洩らす。
「……危うい女だ。そんなふうに言われたら……俺は、さらにお前を求めてしまう」

抱き寄せる腕は強く、繋がりの余韻がまだ二人の間に確かに残っている。
あなたの身体が痺れていることを知りながらも、彼の欲は完全には鎮まっていなかった。

「……ハナ。お前の痺れが癒えるまで、俺はこの腕を解かない。
……それが“記憶”ではなく、今を生きている証だからだ」

耳元に落とされた囁きは、朝の光よりも熱く、深く、確かだった。

──あなたは赤らんだ頬を隠すように胸に顔を埋め、セイランの抱擁に身を委ねた。
痺れた身体も、燃えるような余韻も、そのすべてが彼との夜を証明していた。


──朝の光が窓から差し込み、白いカーテンを淡く揺らしていた。
シーツに身を沈め、まだセイランの腕に包まれているあなたは、黒曜石の瞳をじっと見つめながら問いを口にする。

「……前にさ、セイランの記憶術とジェミニの意思の能力を使って、夢の中で皆とデートをさせてもらったでしょ。……セイランは、自由に夢を見せることができるの?」

その問いに、セイランはゆっくりと瞬きをした。
彼の長い黒と紫の髪がさらりと肩を伝い、淡い光を帯びる。
腕を緩めることなくあなたを抱きながら、低い声が落ちる。

「……自由に夢を見せる、か。──いいや、そう単純なものではない」

黒曜石の瞳が細められ、あなたを見つめる。
「俺の記憶術は“記録を繋ぐ”ことに近い。眠る者の心の奥に沈む映像や感情を呼び起こし、それを鮮明に形にして見せることはできる。
だが……何もないところから夢を“創る”のは俺の領分ではない。俺が扱うのはあくまで記憶の残滓だ」

あなたは少し首を傾げる。
「……じゃあ、前に皆と夢の中でデートしたのは……?」

セイランは小さく息を吐き、囁くように続けた。
「……あれは俺の記憶術とジェミニの“意思”の能力が重なったからこそ成り立った。
俺が過去や潜在に沈む“景色”を引き出し、ジェミニがその場を“意思”で固定し、お前に体験させた。──だから現実のように鮮明だった」

あなたは驚きに目を見開く。
「……なるほど……」

セイランは髪を撫でるようにあなたの頬へと手を伸ばし、黒曜石の瞳を深く揺らす。
「……俺ひとりで見せられるのは、せいぜいお前自身が眠りの中で抱え込んだ記憶や感情だ。
それを導き出して、お前に“夢”として体験させることはできる。……だがそれはお前の中にあるものだ」

「……私の中に……」
あなたの黒い瞳が少し潤み、胸の奥に温かいものが広がる。

セイランは淡々としながらも、吐息に熱を含んでいた。
「……だから、お前が望むなら……俺はお前の記憶を辿り、その奥に潜む景色を見せてやれる。
──けれど、それは俺が“創る”のではなく、お前が“もともと持っている”ものだ」

あなたは頬を赤らめ、彼の胸に顔を寄せた。
「……じゃあ、セイランが見せてくれる夢は、私が心の奥で本当に欲してるものってことなんだね」

黒曜石の瞳が細められ、彼は低く囁く。
「……ああ。お前は気づいていないかもしれないが……俺には分かる。
夜ごとにお前が心に抱く願望や、記憶に刻まれた断片──それを俺は掬い上げることができる」

指先が背を撫で、髪を梳き、優しく抱き込む。
「……だから……夢を望むときは言え。お前が求めるなら……俺はお前の奥底に眠る記憶を繋ぎ合わせ、夢として見せよう」

あなたの胸は強く脈打ち、頬を紅潮させながら小さく囁いた。
「……セイランが見せてくれる夢なら、何度でも見たい」

彼は髪に顔を埋め、吐息混じりに笑った。
「……危うい女だ……夢でさえ俺に委ねるのか」

けれど、その腕の抱擁は一層強まり、確かにあなたを包み込んでいた。

──朝の光はなお柔らかく、夢と現実の境界を揺らすように二人を包み込んでいた。


──朝の光がベッドを淡く照らす。
白いシーツに絡まり合ったまま、あなたはセイランの腕に包まれていた。
彼の黒曜石の瞳はまだ眠たげに細められ、髪が肩に流れ落ちている。

あなたはその瞳を見上げ、少し悪戯っぽく微笑んだ。
「……セイランのエッチが、あんなに激しいとは思わなかったな」

その言葉に、彼の瞼がわずかに揺れ、抱く腕が止まる。
黒曜石の瞳がゆっくりと細まり、低い吐息が胸から洩れた。

「……思っていたより、か」
掠れた声は静かだが、奥に熱を孕んでいる。

あなたはさらに頬を赤らめ、唇を噛んだあと、小さな声で続ける。
「……でも……激しいの、好き」

一瞬の沈黙。
セイランは目を伏せ、黒と紫の髪がさらりと頬に落ちる。
次の瞬間、彼は深く息を吐き、あなたを強く抱き寄せた。

「……危うい女だ……そんなことを言えば、俺はまた理性を失う」

囁きは低く震え、耳元を熱くする。
「……夜ごと記憶を操っても……お前の声と反応には抗えない。
──昨夜のように求め続ける俺を……本当に許すのか」

あなたは黒い瞳を潤ませながら、微笑んで頷いた。
「……うん。許すどころか……嬉しかった」

その言葉に、セイランの瞳が揺れる。
普段は冷徹に感情を押し殺す彼の目に、熱と迷いが混じった。
「……なら……お前は俺を狂わせる」

彼は額をあなたの額に重ね、吐息混じりに囁く。
「……穏やかに抱くつもりでも……お前が声を洩らすたびに、強く深く求めたくなる。
昨夜の激しさは……お前が俺をそうさせたのだ」

あなたは胸に顔を埋め、頬を赤らめながら囁く。
「……また激しくしてほしい」

その一言に、セイランの喉が鳴り、腕の力がさらに強まる。
「……本当に……危うい女だ」
黒曜石の瞳は熱を帯び、今にも再びあなたを求めそうに輝いていた。

──朝の光はなお柔らかく、二人の間に残る夜の余韻をいっそう甘く際立たせていた。


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